よむためにうまれて

上昇気流にのって旋回する沖合いのカモメのように、子どもの本のまわりをぐるぐるしながら、ぷかぷかと日々に浮かぶマナティのような個人的記録も編んでいます。

年に二度くる姪っ子への絵本のプレゼント

6月に入って、新緑がみるみるうちに

深い緑へ変わっていくのがわかります。

時の流れがこんなに早いものなのか、と緑に教えられていて、

うかうかしているとあっという間に7月だな、と思っている今日この頃、

図書館に新しいお気に入りのスペースをみつけました。

9階の窓からは町の向こうに広がる緑がよく見えて、

パソコンから目を離してふと考えごとにとらわれては、

またパソコンと本にかじりつく時間がつづいています。

 

さて、そんな中、先日

大きい方のめいっ子の誕生日プレゼントに、

ネットで本を注文して、

実家宛にとどけてもらいました。

本当に、便利な時代です。

 

ちょっとずつ、本の難易度があがっていますが、

めいっ子はまだ繰り返すパターンの絵本も

たのしんでいます。

 

今回いろいろと考えて、

毎年3冊ずつ本を送るとして、

1冊は外国の作家さんのもの、

もう1冊は日本の作家の日本が舞台のおはなし、

そして最後の1冊は、

昔話の絵本を入れる。

これを毎年のパターン化にしよう!

、、、と、おばちゃんは決めました(勝手に。笑)。

 

私の一家は、家族そろって本が好きです。

さいころから、本だけは

ほしいと言えば買ってもらえました。

病弱で虚弱児だった私は、

幼稚園のときは毎月必ず病気をし、

小学校でもクラス替えのたびに

自家中毒になっていました。

もはや年中行事、anual eventといってよかったです。

そして病院にがんばっていくと、

帰りに駅の近くの本屋さんで

本を買ってもらえたのでした。

 

さらに、父方の伯母も本が大好きで、

毎年誕生日には本をくれました。

よく、人から薦められた本は読んでもおもしろくない、とか、

薦められたものはあまり読まない、

という方もいますが、

私は薦められたものを必ず読みます。

そして、大いに感動します。

そしてそれを薦めてくれた人に伝えます。

それはもしかすると、

さいころから、もらった本にあまりハズレがなかったことに関係しているかもしれない、

と最近になって気がつきました。

 

ありがたいことに、

人間は、

誰かにしてもらったことを、

また誰かにしてあげられるようにできています。

 

いまだによく覚えているのが、

何才のときだったか忘れてしまいましたが、

伯母が誕生日プレゼントに、

岩波少年少女文庫の中の『雨月物語』を

贈ってくれました。

なかなかに渋くていいセンスですよね。

これを読んで、痛く感動したのです。

もともと幽霊や怖い話が好きな子どもでしたが、

それでもこのとき初めて

日本の文学の幽玄な味わいみたいなものに、

夢中になったのをよく覚えています。

 

それをふと今回思い出して、

めいっ子の頭の中が

ショッキングピンクなプリンセス”で

埋めつくされてしまわないように、

ちょっとずつでもおばちゃんの

渋いセレクトも入れていこうじゃないか、

と、思ったわけです。

 

昔話には力があります。

ただふれているだけで、それが人間の中に根をつくりあげ、

根があることで、

心がそこから養分をとれるようになってきます。

ファンタジー、といってしまえばそれまでですが、

でもファンタジーです。

人間が、外の世界のルールやシステムと折り合い、

ときに戦って自分を守るための、白血球的な存在として働き、

心の免疫系統の根をはりめぐらせることを助けてくれます。

 

と、個人的に思っています。