よむためにうまれて

上昇気流にのって旋回する沖合いのカモメのように、子どもの本のまわりをぐるぐるしながら、ぷかぷかと日々に浮かぶマナティのような個人的記録も編んでいます。

ロンドン:Hatchards 英国王室御用達の有名老舗書店

こちらのユニオンジャックはためく店構え。

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まるで高級老舗シューズショップとか、高級家具のお店とか、そんなたたずまいですね。

英国は王室御用達書店、ハッチャーズです。


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同店は、ジョン・ハッチャーズが1797年に創業したロンドン最古の書店として有名です。

ちなみに今年150周年を迎えた丸善は、明治維新の翌年の創業です。

1797年というと、まだ徳川の御代で、後の黒船襲来まで半世紀以上があるんですね。とはいえ、日本も江戸期に本の流通が盛んだったのでしょうから、当時の書物の流通に関わる日本と諸外国との最大の差は、やはり印刷技術でしょうね。明治になるまで木版だった日本の木版技術も、それはそれですごいな、と思います。

 

さて、こちら☟は書店正面の右側のウインドウです。
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子どもの本が通りゆく人たちをさそっていますね~(^-^)

上につるされた折り鶴っぽいオーナメントがかわいいです。

 

お店の中は、私のように明らかに観光客っぽい人と、今日も本を求めてやってきた人たちと、ぱっと見で2種類いる、というのがわかりやすいほどわかりました(笑)。

 

エントランス近くの中央に、らせん階段があって、2階以上へ行くことができます。

こちら☟の棚は、確か2階にあったSFとファンタジーの棚です。

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J.R.R.トールキンの『指輪物語』やホビットシリーズの装丁は、もう、このハッチャーズの黒い書棚のためにデザインされていますっ、といいたいくらいに、お店の棚の重厚感と、本の装丁がぴったりしていて、ちょっと棚の前でしばし眺めてしまったくらいです。笑。

ちなみに、2階はまだ児童書のコーナーではありません。

ということは、ここに並んでいるファンタジーは、「子ども(だけ)のものではありませんね」という書店側のカテゴライズがあるわけです。

 

ハリー・ポッターは、もはや1階(たぶん。すみません、、、行ってから時間が経っていてかなり配置や階数はあやふやになっています)にハリー・ポッターの棚が、子どものためのギフト本の棚と一緒にあるので、いわば「特別扱い」を受けています。

きっと、観光業的な観点からも、ハリー・ポッターは世界中からファンをよんでいるからでしょうね。それは文学というよりも、どちらかというと、「世界のディズニーランド化現象」(←私が勝手にそう呼んでいます)にちかいものがあるだろうと思います。

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子どもへの本を探しにきた人のために、わざわざ上の階の児童書階へ行かずともここである程度選べるようになっていました。

装丁がどれも美しいです!

 

さて、特にロンドン最古の書店ならではだな~、と思ったのが、この☟初版本コーナーです。
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ちらっと右下に写っている椅子や、このカーペットの柄も、本当にちょっとした文化財の建築物を見学しているような気分にさせてくれます。

おそらくこの平積み用の木製の机も、アンティークショップでは相当なお値段のするものなのではないでしょうか。。。

こちらは、児童文学のOxford Companionです。私がこうして置いて写真を撮ったわけではなく、もともとこんなふうに置いてありました。

その横には、キンバリー・レイノルズのVery Short Introductionの児童文学もあります。f:id:tokyomanatee:20191122133841j:image

(ちなみにこのVery Short Introductionは、オックスフォード大学のボドリアン図書館向かいにあるBlackwell書店の棚が圧巻でした。この本屋さんについても書いていないままになっています・・・。)

 

さらに上の階に行くと、児童書コーナーです。

 途中のらせん階段の小さな踊り場スペースには、ポターのピーター・ラビットシリーズのハッチャーズ限定装丁版の宣伝が☟


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こんな高級感のある店内の販促を見たことがありません!!

スグリーンがかっこいいです。

・・・でも、やっぱりポターのシリーズは、真っ白にあの繊細でやさしいイラストがカラーで印刷された装丁がいいかな、なんて、ちょっと思ったりしてしまいました(ごめんなさいい)。

 

さて、児童書コーナーは、かなり広くとられていました。
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通りに面した窓側にはソファーとぬいぐるみが(ソファーにお客さんが一人いらっしゃったので、ぬいぐるみの棚でその方をかくしつつ写真を撮りました・・・)。

ゆったりと絵本を開いて選べる空間です。

 

上の写真の反対側がこちら。
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アメリカ出身で、大学の講師をしているイラストレーターの方が、英米の本屋の違いとして、アメリカは比較的、絵本の表紙がお客さんに見えるように売られているが、イギリスでは背表紙を見せるだけであることが多い、と話していました。

実際には背表紙しか見えないのではなく、書棚が少しななめになっていて、少しずつ表紙が見えるようにはなっていたりするんですけどね。

その際、例えば日本の漫画本の背表紙が、並べていくとひとつながりの絵になっていくような工夫がある、という話も出てきて、ちょっと日本人としては(そんな戦略も海外ではおもしろくうつるんだな~)と思いました。衰退していく紙媒体市場において商業的な装丁の戦略として、興味深い例だったのかもしれません(ちなみに、先生は「マンガの何だったか有名な人の、名前はわからないけど作品が~」と話してて、私は内心、それ、ドラゴンボールじゃないドラゴンボール!・・・と思っただけで、声はあげませんでした(爆))。

こちらは児童書の読み物のコーナーです☟。
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ガーランドがかかっていて、パーティーのようなわくわく感が出ています。左手奥の書棚に対して垂直な壁のスペースに、イラストが5つ飾ってありますが、それがこちらの右側の写真☟です。


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 『宝島』、『ツバメ号とアマゾン号』、『トム・ソーヤの冒険』、『ナルニア国物語』、『Watership Down(ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち)』の表紙のイラストです。

左の写真は道路とは反対側の奥のフロアーに行く通路の横にあったものです。パフィンがかわいい^-^

 

というわけで、ハッチャーズでした。

この日はもう、イギリスを後にする2日くらい前だったので、これ以上何も買えないくらいトランクの重さがギリギリになっていましたので、本は買いませんでしたが、こちらのバッグを記念に購入しました☆

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結構気に入ってます。