よむためにうまれて

上昇気流にのって旋回する沖合いのカモメのように、子どもの本のまわりをぐるぐるしながら、ぷかぷかと日々に浮かぶマナティのような個人的記録も編んでいます。

海外の図書館 ― グラスゴー女性図書館

世の中は、ウイルスのはなしでいっぱいだけれど、今日は実は「国際女性の日」。

男女平等意識の強い某国では、職場で「女性の日おめでとう」なんて、メッセージをもらえたりしたなぁ、と思い出す。

 

というわけで、今日は久しぶりに図書館のおはなし。

グラスゴーにあるGlasgow Women's Libraryです。

 

日本だとあまりこういった図書館はきかないですが、実は青山の国連大学の隣、という超高級な立地に、東京ウィメンズプラザというのがあって、その中に女性の権利関係の書籍や雑誌などがかなりの充実度でそろえられています。

私は以前ここで、DV等から女性が保護された際の法的手続きについて簡単なレクチャーを受けたことがあります。

単発でお手伝いをしていた通訳の仕事で、そうしたケースにあたったことがあって、背景の制度的なことなどがわかっていれば、通訳にも役にたつのでは、と思って受けました。

このときの通訳経験は、実は、児童文学を学びなおすことや、留学を決める際に、かなり大きな影響を与えています。

そのはなしはブログに書けるものではありませんが、

国によっては子どもの本に、女の子の物語が少ない、もしくは、ない

という問題意識をはっきりともつきっかけとなりました。

欧米の国々は、そのへんの意識が非常に高いですね。

大学の児童文学の授業でも、アメリカ出身の講師の方が、とてもエネルギッシュな講義をしてくださって、子どもの本が、下手をすると、女性への固定観念を喧伝していることになりかねない、ということを学びました。

有名どころでは、ハリー・ポッター(☜かわいそうにこのシリーズは、売れれば売れただけ、研究者のさまざまなやり玉にあがる見本みたいなシリーズにもなってしまいました)の中のハーマイオニーの扱われ方、描かれ方について、フェミニズムに反していると批判した論文がけっこうあります。

 

さて、そんなこともあって、留学先のグラスゴーにあった女性図書館ってどんなかな~、と思っていましたが、とっても居心地のいい図書館でした。

イギリス人のクラスメートがここでボランティアをしていたので、案内してくれたのです。

 

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グラスゴーの街中でよく見かけるタイプの古い建物です。歴史的な美術館などでは、レンガがもっと赤い建物もよく見受けます。

 

入り口を入ったところです。
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右手のガラスばりの部屋は、史料編纂などをしているオフィスになっているようでした(関係者以外立ち入り禁止)。

 

入り口左手には、吹き抜けのホールがあります。
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図書館の中です。
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中央スペースの丸テーブル☟がとてもかわいい!
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さまざまな賞を受賞している図書館のようでした。
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こちらの本棚が子どもの本のスペースのようでした。
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一番上の左の絵本は、すてきなおはなしです。日本でも翻訳されるといいけれど。

本棚には、もちろん女性の権利に関する本が多くあって、町でいかに女性の権利が守られるよう、活動がなされてきたか、という歴史を保存している役割を担っているようでした。

ボランティアをしている友人が、2階にある書庫も案内してくれて、そうした所蔵品のいくつかを少し見せてくれました。

このかわいい時計☟もその一つです。
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文字盤は、3時のところから左にまわって「VOTE FOR WOMEN」と読めます。中央には、赤ちゃんを二人抱えた男性が座っています。憮然とした表情がいいですね(笑)。

☟これは、入口左手のホールの上部にあたるスペースで、そうした資料の一部を公開しています。
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図書館でありつつ、女性の相談なんかもできたりしていて、女性のための活動拠点として図書館っていいなぁ、と思いました。建物の雰囲気も安心感のある空間で、落ち着いて知識を入れることもできるし、司書さんやボランティアさんとおはなしもできるスペースでした。

そういう点で、日本だとこういう場所がどうも役所っぽさが出てしまうのはなんでかなぁ、とも思いました。