よむためにうまれて

上昇気流にのって旋回する沖合いのカモメのように、子どもの本のまわりをぐるぐるしながら、ぷかぷかと日々に浮かぶマナティのような個人的記録も編んでいます。

イランの絵本展に行ってきたはなし(いろんな国の本について)

久しぶりに展示を見に行ったおはなしです。

といっても、火曜日で終了したのですが(爆)。

こうして外へ出歩いたはなしが出来るようになってきたのも、とても感慨深いものがあります。ウイルスに感染しないように、そして猛暑を避けつつ、日常の中にささやかな癒しを組み込んで、少しずつ"小動物"なりに外へ出ていこうと思います。笑。

 

だってもう、9月です。。

ウイルスと長雨と猛暑で外出を控えているうちに、今年も3分の1しかなくなってしまったなんて、愕然とするとともに焦燥感にかられます。

(しかし猛暑の次は台風ですね>_<; 日本近海の海水温が過去最高レベルらしいです。)

さて、板橋区立美術館で、今年で40回目を迎えるというイタリア・ボローニャ絵本原画展が開かれています。9月27日まで開催していますので、そちらはまだまだチャンスがあります。

私も、まだ足を運べていません(今回、成増のカフェまで行ったのに。地理的なことを何も把握しないまま訪ねてしまいました・・・。時間をつくればついでにボローニャ展も行けたかな~。)

これと並行して、さまざまなイベントや企画展が開催されています(詳しくは、同原画展のチラシの裏面に記載されています)。

私もこのチラシの裏面を見ていて、「イランの絵本展」が気になって、ボローニャ展そっちのけで、急いで見に行きました。

場所は東武東上線成増駅から徒歩5分くらいのCafe Patinaです。

グーグルマップ上で見ていたら、道が記されていないところにマッピングされて出てきて(なんだこれは、どうやって入るのだ?)と思いましたが、昔は川だったのかな、と思わせる一段下がった小道が住宅地の中を貫いていて、その先にあるペールピンクの集合住宅の一角にありました。 


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店内にテーブルは3つくらいでしたが、外からの日差しのたっぷり入る居心地のいい空間でした。ちょっとした隠れ家に遊びに来たみたいな気持ちになれます。

周りも、何となく、外国のコンドミニアムのような雰囲気で可愛らしい住宅地です。

こんなとこに住めたら静かでいいだろうな~、しかもカフェの常連さんになったりしたら、住んでる場所への愛着が湧きそうだな~、などと想像しました。

 

イランの絵本展は、「サラーム・サラーム」というウェブサイトでイランの絵本などをご紹介されている翻訳家の方が主催されていました。

もともと、イランのイラストのすごさは、途上国のイラストレーターを数多く発掘してきた野間絵本原画コンクールで実証されていて(同コンクールは数年前に終了しました)、抽象的な画風、独特の色合い、デフォルメ感、アーティスティックさと、その中に薫り立っている民族的で原始的な空気感が特徴的でした。

久しぶりにあの薫りの触れたいな~、と思い、訪ねたわけです。

しかも、原画の展示ではなく、絵本の実物を手に取れるようになっていたので、実際にイラン本国で売られているサイズや紙の質なども知ることができて、勉強になりました。

原画ではなくて絵本なのね~、という方もいらっしゃるかもしれませんが、確かに原画を観られるならそれも観たいとも思いますが、絵本の実物を手に取れるのもとても面白いです。

市場に乗る形、読者に届けられる最終的な形には、それぞれの国の印刷技術、紙事情、経済発展度合なども含めて、出版業界の力量が一目でわかるからです。

 

IBBYが各国からの推薦本リストをまとめたものを、一式貸し出していて、イギリスの児童文学コースの講師の方がこれに申し込んで、学内で1週間くらい自由に手に取れるようにしてくれたことがありました☟。

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彩とりどりで、本当に、それぞれの本がそれぞれの国の雰囲気を代表しているなぁ、と思いました。

写真のように立てて置ける絵本ばかりではありません。ハードカバーで製作できない国もあります。でも、たとえ紙がぺらぺらでざらざらだったりしても、その、精一杯でやってますっ、という感じが手に取ると何だか胸にしみました。

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(クモは大嫌いですが、この左の絵本は色使いに感動してついつい開いてしまいました。真ん中のものも素晴らしいです。色使いには、間違えなくその国の個性がにじみ出ます。)

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(左のProfessional Crocodileはあっという間に邦訳が出てもおかしくないくらい面白い中身でした。もう出てるかな?『パンダ子パンダ』のエンディングと同じロジックのストーリーです。あそこの「落ち」をそのまま絵本にした感じ。確かイタリアの絵本です。イタリアの児童書は、他の追随を絶対許さないような芸術的オリジナリティがある!といつも感心してしまいます。

真ん中はアラビア語圏の絵本です。国名はメモしていません。

そして、右は我らが日本代表、『ドームがたり』。)

こんな、ぴかぴかした見た目に、わくわくする中身というのが、どれほど尊いか、と思います。

 

イランの絵本展では、翻訳者の方が、イランの絵本も最近は商業的な感じも出てきた、というようなお話も聞かせてくださいました。

バランスって難しいです。でも、それもひとつ、発展してる証しだと信じます。思春期の心の不安定さといっしょで。

 

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☝頂いた絵本展の案内のカード。この絵本のイラストもすてきでした~。いい顔してます!

展示されていた絵本の写真は撮っていませんが、ご興味ある方は、サラーム・サラームのサイトで一部ご覧になれると思います。

というわけで、心潤う一日でした。