よむためにうまれて

上昇気流にのって旋回する沖合いのカモメのように、子どもの本のまわりをぐるぐるしながら、ぷかぷかと日々に浮かぶマナティのような個人的記録も編んでいます。

「韓国絵本の世界」に行ってきた

土日がこうして快晴だと気持ちがいいですね。

私は個人的に、気温が氷点下になるとテンションが上がる人間です。笑。雪国生まれではなく、地元はむしろ温暖な気候な地域なのですが、なぜか氷点下が好きなのです。ま、東京は、氷点下になることはありませんが・・。

 

さて、今日は、国際子ども図書館で開催された、講義「韓国絵本の世界」に行ってきました。

f:id:tokyomanatee:20191201235733j:image

 

国際子ども図書館は、国会図書館の一部ですので、もちろん無料です。

展示も有名な方の講義もすべて無料、というのは本当にありがたいことだと思います。

興味のある講義には、よく行くのですが、今回は韓国絵本、ということでいつも以上に人が入っていたし、韓国語のわかる方も結構いらっしゃるようでした。

 

13:30~16:00というたっぷりとした時間の中で、韓国の絵本の発展史と、最近の傾向や作家さんのおはなしをきくことができました。

ジョン・ビョンギュ先生と、チョン・サンヒョン先生という二人の方の講義で構成されていました。

その中で、ブログと関連して本屋のはなしで「へ~」と思ったのが、1990年代に入って、全国で100軒ちかい子どもの本の専門店ができたそうです。そのころから、創作絵本も大きく花開いて、また、海外からの出版を正式なかたちでどんどん出版するようになったそうです。この海外の出版物の輸入に際して、同じような水準の出版物を刊行しようとすることで、印刷技術も向上した、とジョン先生が説明されていて、これは、私の最大の関心事である、途上国の児童書出版状況から考えて、本当に重要な指摘だな、と思いました。

 

また、韓国では絵本書店による地域読書クラブ、というものができあがっているらしく、地方の絵本書店が都市部との情報的文化的格差を縮める役目を果たし、文化的な発信拠点になっているということをチョン先生がおっしゃってました。

これもとっても納得しました。

順天というところには絵本図書館もあるらしく、また軍浦には絵本ミュージアムの建設計画があるようです。

韓国の児童書専門店巡りや、絵本がらみの拠点散策など、今まで考えたこともなかったですが、やってみたらとっても面白いだろうな~!と思って聞いておりました。

 

おとなりの国。昨今いろんなことがありますが、絵本の世界、子どもの本の世界では、まったく関係ありません。

中国、台湾、韓国の中の日本の絵本や児童書の翻訳出版率というのは日本人の想像を超える占拠率なんですね。留学中も台湾人のクラスメートが台湾の児童書出版の国別割合を調べていて、実は日本の児童書がトップだよ!と教えてくれました。

だから、クラスメートでやっていたブッククラブで、日本の児童文学の紹介を行ったときも、日本の作家の名前を中国、台湾人のクラスメートは本当によく知っていました。

そして、日本の作家さんの中にも、例えば、工藤直子さんなんかは台湾で生まれていたり、台湾や中国で幼少期をすごしている作家さんもいたりするんですね。

台湾の作家さんのジミー・リャオの作品がもっているやわらかさは、オリバー・ジェファーズともまたちょっと違う心の癒し方をくれるし、それは同じ東アジアの人間には心に沁みてよくわかるなぁ、という感覚をくれます。

 

たのしいこと、おもしろいこと、かなしみ、よろこびなんかを共有できるというのは、人間に生まれた中でも最もすてきなことの一つだとすれば、絵本はそれにあふれたメディアなんだな、とあらためて思いました。