よむためにうまれて

上昇気流にのって旋回する沖合いのカモメのように、子どもの本のまわりをぐるぐるしながら、ぷかぷかと日々に浮かぶマナティのような個人的記録も編んでいます。

今年の3冊

All that is gold does not glitter, Not all those who wander are lost;

The old that is strong does not wither, Deep roots are not reached by the frost.

 

From the ashes a fire shall be woken, A light from the shadows shall spring;

Renewed shall be blade that was broken, The crownless again shall be king.

―― J. R. R. Tolkien: The Fellowship of the Ring

 

今年もあと1日。 

今年は、家にいる時間が長かったせいか、例年の2倍は読書が進んだと思います。

でも購入した本の数は例年より少なかったかな。ざっと数えて55冊くらい。

そのかわり、今年は町の図書館にも大変お世話になりました。予約システムを使えば、予約しておいた本をカウンターで受け取るだけで済むのがとても便利でした。

来年もたくさんお世話になります。

 

さて。大掃除をしつつ、今年読んだ本で印象に残っている本を考えていて、個人的な今年の3冊を選んでみました。

まず1つめは、『徳治郎とボク』です。

この本については書き出すと書きたいことがたくさん出てくるので、後日時間のあるときに、つまり年の瀬でないときに(笑)語りたいです。

そして2つめは、The Hate U Giveですね。

これはいろんな意味で今年の本。

そして3つめは、やっぱりJulian is a Mermaidかもしれません。今年に入って、もう一度開いてみることが多くて、開くたびに新しいことに気づかされるし、さまざまな角度から考えると、さまざまな捉え方をあらためて考えさせられる本だなぁ、と思いました。この本について考えだすと止まらなくなるなぁ、と。ジュリアン・シリーズとして2冊目の本も出版されましたが、ことあるごとに、きっとこの絵本の最後に出てくる水平線を思い出すかもしれません。

The Hate U Giveも、Julian is a Mermaidも、どちらの本も異なる「他者」の問題について、今現在、描き出しうる限りのかたちを伝えてくれているように思います。

日々、多くの情報が流れ出てきて、今年は特に、情報や数字を追うことが多かったけれど、私たちは情報の中からはなかなか「人間」を探し出しにくかったりします。出来事の向こう側にあるものを伝えてくれるのは、いつだって芸術や文化ですね。

 

週末に、フィギュアスケートフィギュアスケートを観るのが大好きです)全日本選手権の羽生君の演技を見ていて、今年一年の中に足りなかったものに、気づかされました。

ああ、美しいものが少なかった、と。

文化とか、芸術とか、そういうものが、極端に遠のいてしまった、と。

この先の未来では、たぶん、人間どうしの分断が進むのかもしれなくて、今までのメディアがゆるやかにつなげてくれていた人と人どうしの認識や常識や共通理念みたいなものが、つながりにくくなるのかもしれません。自分の見たいものだけを選んで見られるメディアが台頭してきたように。

何を見ようと何を考えようと自由だけれど、そこに美しいものを見つけることが、どれほど人間にとって尊いことだったか(もはや過去形・・・)、今年一年の最後に思い出させてもらえて、本当にすばらしいなぁ、ありがたいなぁ😭と思いました。

そこで、思い出したのが、記事冒頭のトールキンの引用です。

‛From the ashes’ の部分にこもっている熱に、心がぐっと強さを取り戻せるようで、この言葉が大好きです。

3.11のあった2011年の年末にも、同じようにこの言葉を思い出して、ノートに書きとめたのをおぼえています。

王は帰還することに意味がある。

光は闇の中から現れる。

春は再びめぐってくることに意味がある。

すべてのものは、崩れ去ったあとにこそ意味がある。

 

今日は、雨上がりに、今年最後の虹を見ました🌈

 

来年が、よい年になりますように。

 

そしてまた、いい本とすてきな言葉と出会えますように☆