今年読んだ本のランキングなどしておこうかと思いましたが、
とてもランキングできない・・・
とあっさりとあきらめまして、
今年もいい本に出逢ったなぁ、と印象に残っている本をとりとめもなく、列挙していこうと思います。
ではいきます!
(作者・翻訳者・出版社等、(面倒くさくて)一部省略しています。)
- 『やとのいえ』
記事にしておこうおこうと思っていて書いてる暇のなかった絵本。こういう風景の移り変わりって、もう実は取り戻せないから絵本のなかにしかない、ということでいいんだろうか、なんて思ったりもする。例えば、『おしいれのぼうけん』とかもそうなんだけれど、今や押入れのある保育園も幼稚園もないだろう。だけど、いまだに日本家屋は絵本のなかで子どもの逃げ場所として描かれ続けている。アニメとかドラマの設定とかでもそーですよね。こんな日本家屋あったらいいよね、て思うけど、誰もそんな家に住んでない、今の時代。都内ではどんどんどんどんどんどん、古い家をぶっ壊して、ならして、新しいペカペカした輸入建材の家を建てて、敷地いっぱいいっぱいをコンクートで固めて、見ているこっちが息ができない・・・みたいな家に変っていくけど、創作のなかではいつも日本家屋を求めてしまうんでしょうか。『やとのいえ』のお地蔵さんも、家も風景もなつかしいけれど、壊して来てしまったものを、どう考えればいいのか、を考えさせられる部分はある。と思った一冊。とりあえずお地蔵さんの数がいっぱいです。笑。お地蔵さん好きにはたまらない一冊。私は、お地蔵さんが好きなのです、笑。
- 『夢見る人』
これについては、記事にも書いているのでパスで。
- 『Tibet through the Red Box』
これも記事にも書きましたが、素晴らしいの一言でした。いつか手に入れたい。今、国際郵便が1カ月以上は軽くかかるみたいだけど、余裕のあるときに海外の古書サイトで買おうと思っている。
- 『ちいさなタグボートのバラード』
これも記事に書いているので名前だけで。
- 『アーモンド』
(ソン・ウォンピョン作)『アーモンド』!これはおもしろかった!韓国の作品は本当に粒ぞろいというか(アーモンドだけに…(;*'▽'))どれもすばらしい。絵本もペク・ヒナのような追随を許さない才能を輩出してるし、ざくざく良作が出てくるなぁと思って楽しみにしています。そういえば、絵本の『チェクポ』(イ・チュニ文/キム・ドンソン絵、福音館書店)もすごくよかったです!おばあちゃん好きを泣かせます。。
- 『ソンジュの見た星』
半島の北側からもうひと作品。これは事実を基にして書かれた作品なんだけど、そう考えると心から世界中の人に読んでもらいたいと思ったし、作者の勇気に感謝をしたい気持ちになった一冊。日本みたいな国で寝ぼけていると、世界に散らばるこういう物語によって、年に1回くらいはたたき起こされた方がいいんだろうと思う。途上国のどん底から国際社会へ飛び出していくような人生を送る人っている。マララさんもそうだし。イギリスの児童書店Tales on Moon Laneで出会ったHope in A Ballet Shoeという本も、シエラレオネで生まれて内戦に巻きこまれて孤児になった少女が、国際養子縁組によってアメリカの家庭に引き取られて、黒人バレリーナになるストーリーで、そういう奇跡のような人生ってあるんだな、と神聖な気持ちになる。今の時代の「シンデレラ」ってこういうことだね、と思うし、これが現実のストーリーであることにまず、圧倒される。失礼な書き方をしてしまうけれど、へたな小説は、もうこういう現実に全然かなわないように思う。
とにかく、ソンジュの見ていた夜空を、いっしょに見あげてみることをお薦めしたい。
- 『ザリガニの鳴くところ』
読後の感動が半端なかった。孤独なようで、実は孤独ではなかったかもしれない一人の女性の一生を味わいつくせる。生きてることの「泥臭さ」の文字通りの泥に、両方の素足をしっかりとつけて、善悪を超えて思う存分いのちを燃やすことが詰まっている。
- 『はるにれ』/『ふたごのき』
テクストのない絵本を検索していて、姉崎さんのこの2冊を手に取りました。『ふたごのき』の方は、谷川俊太郎・文なんですが、どちらも傑作。『はるにれ』は傑作絵本シリーズに入っていて、今も児童書店には並んでいるんだけど、『ふたごのき』もセットで売っていてほしいなぁ、と思う。耳をすますこととか、絵本というメディアのいちばん基本的な力を考えさせてもらえる。というわけで、『ふたごのき』は、来年の姪っ子への誕生日プレゼント候補リストに入れています。
これも、テクストのない絵本を探していて出逢いました。五十嵐豊子さんの絵本は、この二冊しか出てこないんですねぇ。ものすごい傑作だと個人的に思っています。今という時に出会ったからこそ、というのはもちろんあると思います。
縁日も、町の小さな氏神様くらいの神社では、露店の数は私の小さい頃から比べれば激減した。今の子どもたちにとってのお祭りって、大きな規模のものでしか賑やかさを味わえなくなっているのかな、と寂しくなる。どんな小さな町でも非日常がきちんと年に1回つくられる行事がある、というのは人間の営みにはとても重要なことだと思う。『おみせ』もぜひ復刊してほしい。
西村さんの『やこうれっしゃ』は、金沢から上野への夜行列車の旅を描いているんだけど、ここで描かれている「上野」駅の意味は、今の上野とは違うんだなぁ、ということがよくわかる。本当に、こういう絵本、貴重だと思う。『おふろやさん』なんて、お風呂屋さんのなかに響く声や桶や水の音が聴こえてくるような気がしてくるもの。
こういう絵本と『やとのいえ』との距離についても考えてしまった。まだまだこうした風景が実際にあったときに描かれた日常と非日常なだけに、もう、説得力が違う。見ていてもとても楽しい、ということもあるけど、もうこういう風景が見られなくなってきていることに、ちょっと静かな気持ちにもなる。
- 『オオカミの来た朝』
ジュディス・クラーク初めて読みました。いいです。あまり翻訳がされてないみたいだけど、これから折を見て他の作品も原作で読んでみたい。移民の物語は、欧州を難民危機が襲って以来、特に絵本では相次いで出版されているけど、その移民の物語が、どこか欧州側の家族観の物語になってしまっているような印象を受けるのは、どうにも否めないように思っていた。それに比べて、ジュディス・クラークのこの物語は、痛々しいほどしっかり移住する以前の物語を描き出していて、移民で成立しているオーストラリアの底力みたいなものを感じる。
あなたの物語は、私の物語だ、と言える社会は、すごいことだと思います。ジュディス・クラークいいです。
- 『天体観測に魅せられた人たち』
これも記事にしてますが、この本が大好きです!お正月休みはこの人の動画をTEDでゆっくり見てみよう~。
- 『クララとお日さま』
です。もう、とにかく、お日さまに照らされました。
というわけで。締めは『クララ』。今年の”感動”一番乗りの1冊でした。
読んだ本の数は、途中から数えるのをやめてしまったのですが、絵本は約500冊、といったところでした。もうちょっと読めてもよかったなぁ・・・。とはいえ、今年もたっぷり感動をいただきました。
来年も、たくさんおもしろい本に出逢えますように☆
よいお年を~☆