ロンドンの本屋さんで、もう一つ有名なところの記事を書いていませんでした。
Daunt Booksです。
これも検索するとすぐに出てくる有名店で、店内がかなりフォトジェニックなことで有名です。
広さはそれほどではなかったですが、小さめの歴史ある図書館のような落ち着いた雰囲気でした。
そこに並んでいる本も、なんだか典雅で、どれもこれも深い叡智を宿しているように・・・見えてくるから不思議です(笑)。
手すりや天窓、ステンドグラスなどが、古い大学の図書館のように美しいです。
本を、本だけでなく、雑貨やほかの用品といっしょにディスプレイして販売する手法が、昨今、話題になっていますが、こうして図書館のような古いお店に置かれている本だと、本選びも少し真剣になります。
逆に、こうした本屋さんだと、がちゃがちゃした雑誌やら、コミックやらは似合わないかもしれません。イギリスの老舗書店っていうのは、お店の雰囲気が、おかれる本まで選ぶんだなぁ~、などと思いました。
そのあたりも、どこかイギリス社会を反映しているような気もしますが。。。
肝心の子どもの本のスペースは、1階左スペースの奥でした。
(大好きなリチャード・スカリーのABCブックの巨大本版☝!)
そこまで広いスペースとは言えないかもしれませんが、天井にイラストが描かれていたりして、老舗のつくりではありつつも、楽しそうな空気を演出しようとしているのが見てとれます。
そして私もついつい、雰囲気につられてか、オックスフォードですら買わなかった『アリス』を記念に買うことにしてしまいました(爆)。
このマクミランシリーズのうすみず色に、ゴールドのタイトルの装丁デザインが、「永久不滅の名作です」という感じが出ていて、大大大好きなのです。
手のひらサイズだし、重さもそこまでないし、と思って買ってしまいました。この本が、実質イギリス留学中に購入した最後の本だったと思います。
最後の最後の記念に買うなら、やはりAlice's Adventures in Wonderland以外にはないな、と思ったのです。しかも、こうした古典中の古典だと、どこでも手に入るから、逆にわざわざ手元においておかないなぁ、と思ったのです。
☟中のイラストが色付きで、鮮やかです。
ケンブリッジ大学のゾエ・ジャックが発表したChildren's Literature and the Posthumanismという本は、ポストヒューマニズムの視点から、いかに『アリス』に出てくる不思議な動物たちが、人間の絶対的地位を揺るがすユニークさを発揮しているかを分析しています。私にとっては、このジャックの本は、留学をきっかけに読んだ研究書の中で、ジャクリーン・ローズのThe Case of Peter Panと並ぶくらい一番興奮した本でした。
(彼女はきっと、研究者として、ニコラエバ並みの地位を築くのでは、と私は思っています。)
その中で、☟こちらのイラストについても、まさにフラミンゴとアリスの目線がまっすぐお互いを見つめ合っていることに言及しています。
そうして見てみると、この本のイラスト上の動物たちは、ほとんどアリスを見下ろしていることにも気がつきます。
児童文学の中に立ちはだかる壁を問うたThe Case of Peter Panに対して、通常の関係性の逆転、反転に、子どもの本の本領がある、と主張するChildren's Literature and the Posthumanismは、児童文学の可能性を新たに探っているといえます。
そういう意味では、『アリス』じたいも、まだまだ分析と解釈の泉として、全然枯れていない。そんな理由もあって、これを最後の記念の1冊に選んで買いました。
ですが、レジのところで、「プレゼントですか?包装は要りますか?」と聞かれ、
「・・・Nmmmそんなようなものですが、そのままで大丈夫です(;^_^)」
と答えました。。。本当は、自分用に自分へのプレゼントなのです。。。( ̄∀ ̄;)
これはこれでDaunt Booksに来た記念に買ってよかった、と大満足したのですが、このあと足をのばした大英図書館の中に入っている本屋さんに、マクミランシリーズがずらりと並んだ棚(☟)があり、しかも、Two For One! 1冊がただで買えたのです。
少なくとも、マクミランシリーズをお土産に買いたいときは、ぜひ、大英図書館へ行かれることをお勧めします(笑)。
また、Daunt Bookは、英国王室御用達のHatchardsのように、トートバッグなど、オリジナルグッズも販売しているので、本好きの方は、こちらでのお土産もよいかもしれません♫
ロンドンの本屋さんの記事は、これが最後。
得体の知れないウイルスが落ち着いたときに、ぜひまた、イギリスへ行きたいな~、と思っています。